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仙台地方裁判所古川支部 昭和45年(わ)10号 判決

本店所在地

遠田郡小牛田町字桜木町六番地

株式会社 瀬川勝雄商店

右代表者代表締役

瀬川勝雄

本籍並びに住居

遠田郡小牛田町南小牛田字町浦四四番地の一

会社役員

瀬川勝雄

明治三三年四月一二日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官松浦安人出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人会社を罰金三〇〇万円に処する。

被告人瀬川勝雄を懲役六月に処する。

但し、被告人瀬川勝雄に対し、この裁判確定の日から二年間、右刑の執行を猶予する。

(犯罪事実)

被告人会社は、遠田郡小牛田町字桜木町六番地に本店を設け、各種食料品の仕入販売等を株式会社であり、被告人瀬川勝雄は右会社の代表取締役としてその業務全般を総括しているものであるが、被告人瀬川勝雄は被告人会社の業務に関し、法人税を免れる目的をもつて売上および期末たな卸商品の一部除外、仕入の架空または水増計上、運賃出張旅費等の水増計上等の不正な方法によつて被告人会社の所得を秘匿したうえ

第一、昭和四一年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度において、被告人会社の実際所得額が金一六、六八三、〇一五円で、これに対する法人税額が五、三七四、九〇〇円であつたのに、昭和四二年三月一日所轄、吉川税務署長に対し、右事業年度の所得額が金五、七五七、六一四円で、これに対する法人税額が金一、五五一、五二〇円である旨虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて被告人会社の実際の法人税額と右申告税額との差額金三、八二三、三〇〇円を逋脱し

第二、昭和四二年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度において、被告人会社の実際所得額が金一四、三八四、五七七円で、これに対する法人額が金四、五六九、一〇〇円であつたのに、昭和四三年二月二九日前記税務署長に対し、右事業年度の所得額が金五、三五〇、〇八六円で、これに対する法人税額が金一、四三八、九〇〇円である旨虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて被告人会社の実際の法人税額と、右申告額との差額金三、一三〇、二〇〇円を逋脱し

第三、昭和四三年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度において、被告人会社の実際所得額が金一一、九七七、六二四円で、これに対する法人税額が金三、七二七、四〇〇円であつたのに、昭和四四年三月一日前記税務署長に対し、右事業年度の所得額が金五、四九六、二六九円で、これに対する法人税額が金一、四八五、七〇〇円である旨虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、被告人会社の実際の法人税額と右申告税額との差額金二、二四一、七〇〇円を逋脱したものである。

(証拠の標目)

一、第一回公判調書中被告人瀬川勝雄の供述記載

一、同被告人の当公廷での供述

一、同被告人の検察官に対する供述調書および収税官史に対する質問てん末書全部

一、菊池君子(全部)、武中栄子(同)、瀬川幸子(同)、瀬川照男(同)、吉田恒雄、米沢三代吉、瀬川正弘の収税官吏に対する質問てん末書

一、収税官吏作成の告発書、脱税計算書説明資料、法人税の修正申告書謄本(三通)、脱税計算書(同)、未納事業税計算書(同)、乾海の売上除外額調査書(三通)、商品たな卸除外額の調査書、銀行調査書、簿外預金等の調査書、架空借入金水増支出利息調査書、架空仕入水増仕入調査書、水増運賃調査書

一、鈴木福松、阿部寿作成の各回答書

一、伊藤芳美作成の確認書

一、武中栄子(全部)、菊池君子(同)、尾崎十一(同)、米沢三代吉、高橋順一、千葉金勝、伊藤正作成の各上申書

一、押収してある証第一ないし第四五号証(各枝番号を含む)物件

(法令の適用)

被告人会社に対し、法人税法第七四条第一項、第一六四条第一項、第一五九条第一項、刑法第四五条前段、第四八条第二項。

被告人瀬川勝雄に対し、法人税法第七四条第一項、第一五九条第一項(懲役刑選択)、第四五条前段、第四七条本文、第二五条第一項。刑事訴訟法第一八一条第一項但書(訴訟費用免除)

(裁判官 太田実)

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